老人と山

警察庁の統計によると昨年夏の山岳遭難者に占める60歳以上の割合が遂に42%弱に。毎年総数共に減ってきている。コロナ禍を真面に受ける老人が登山を諦めたと言うことはあったとしても素直に嬉しいもんだ。還暦を越えると状況判断に狂続きを読む “老人と山”

願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月の頃 人は老いを迎え、死の遠くないことを感じ、人生最後に最良の姿を求める。満開の桜の下、甘い香りに包まれ釈迦の涅槃の如く死を迎えたい。西行法師はこの句の10年後、73才で望み通り続きを読む “花”

S君

S君は転校生だった。確か小学5年の時だった。もう半世紀も前のことだ。忘れて当たり前。北関東の田舎の小学校、転校生は目立つ。異文化を持ってくる。東京から来た或る転校生は厳しい寒さの中で半ズボンだった。背が高く足は長く、髪型続きを読む “S君”

幻想

山頂から眺めると下界は風景の一部となり何も見えなくなる。眼前にあるのは美しく何処までも続く天上と自分のみ感じられる悠久の世界である。いつまでもこの恍惚の世界に浸りたいがそうはいかない、夜になれば光の無い暗黒の闇が待ってい続きを読む “幻想”

祈り

皆川達夫さんが今年4月に亡くなられた。その1月前までNHKFMの『音楽の泉』のDJをされていた。92才であった。私が皆川達夫さんを初めて知ったのは中学のとき。やはりNHKFM「バロック音楽のたのしみ」朝6時、紹介される曲続きを読む “祈り”